Chapter11:可愛いジェラシー

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「うん……そうだよね。気遣ってくれてありがとう」  そんな、健気な彼女に相槌だけ打つのは申し訳なくて、ありがとうの言葉をちょこっとだけ付け加えてみた。 「ううん、大事だと思うから。そういうの」 「そういう細かな心遣いが嬉しいんだよ、ありがとう」 (彼女に「ありがとう」を繰り返し言って良い奴みたいな素振りを見せているけれど、実は1年も元カノとのツーショット写真を放置していた、まるで元カノに未練タラタラであるみたいなとんでもないヤローなんだよなぁ……俺。最悪だよ、本当に)  今すぐに言い訳したい。  すぐに弁明して誤解を解きたい。  …………だけど、俺の胸でシクシク泣いてグズグズ鼻を鳴らしている彼女の痛みを俺の手のひらで緩和させる事が先決だと思ったし (どこからはなに説明すれば良いのか分からない……)  何をどう話しても、はなに誤解を生んでしまいそうな危険を孕んでいて、説明したくてもなかなか口が開かない。
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