Chapter11:可愛いジェラシー

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 はなは顔をあげ、潤んだ瞳を俺の方に向けながらそう聞き返してきたから 「うん……そうだね。はなを好きになった時とは違うんだよ。  はなに片想いしてる時は、はなの可愛らしい部分にキュンときてたし、今だって好きな部分をたくさん言える。  だけど、美月のどこが好きだったのか……どんなデートが楽しかったのか……あんまり思い出せないんだ。だからはなが言ってくれたような『元カノとの思い出』も、どこへ行ったとか何を食べたとかの行動そのものは記憶していても、その記憶に感情が上乗せされてないんだよね」 「上乗せ?」 「うん……今思えば、俺は美月と彼氏彼女としての関係を結べてなかったし、美月を好きでいる事が最初から出来ていなかったんだと思うんだ」  首を傾げるはなに向かって、俺もまっすぐに見据えながらそう答え…… (お花見デート直前に振られたのは、単に「手しか繋いでなくてつまらなかった」以外の理由がいっぱいあって、既に俺に対しての不満が溜まりまくっていたんだろうなぁ)  ……と、そんな内容を振り返る。
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