Chapter11:可愛いジェラシー

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「まだ雪も降らない枯葉や枝だけになったこの時期の物悲しさってさ、ひとりぼっちになった自分に投影してしまうんだよ~! クリスマスイルミネーションで街の様子は華やかであってもお金に余裕があっても自分の心はそうじゃない。キラキラした外の世界からポツンと取り残された感じがするんだよねきっと! 寒いからこそ他人の温もりを求めてしまうっていうか」  web小説に激ハマりしているのが、音羽ちゃんの熱量で伝わる。 「まぁ……今の時期のもの寂しさって分かるかなぁ。彼氏が居なかった一年前と今では温もりへの欲求ってダンチだし」  紗羅ちゃんはカップに残っていたココアを飲み干し、温かな吐息と共に音羽ちゃんへの理解を示し 「やっぱり、あおくんと密に連絡取っていこうかなぁ。あおくんだって寂しいはずだもん」  男性が風俗へ行く理由は女性のそれとは異なるだろうけど、やっぱりパートナー以外の温もりを求めるって相当な状態だと、ストーリーにも読者の音羽ちゃんの気持ちにも寄り添う。 (寒くなってきたからこそ、ラブラブに……今よりもっと親密な関係になりたい!)  付き合って2ヶ月。私は音羽ちゃんにスマホを返しながら (土日だけでなく、平日にも気軽に会えるようになったら……そしたらお互い寂しくならないよね?)  が浮かんでいた。
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