Chapter11:可愛いジェラシー

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(なんでミツキさんの名前をあおくん本人じゃなくて澤村くんに訊いちゃったんだろう? よりにもよって、あおくんの居ない部屋に合鍵使って入って留守番するような日にっ!!)  あおくんは今頃、風の強い冬空の中でお花屋さんの仕事に励んでいる。  普段からあおくんは自転車移動だから、バイト終わってこっちに帰ってくる最中だって凍えそうなくらい寒い思いをする筈だ。 「もうっ! 私のバカバカっ!! 澤村くんはちっとも悪くないのにっ! 澤村くんが『辞めた方ががいい』って言ってたのに『名前だけでも知りたい』って引き下がらなかったのは私で、私が悪いんだからっ!」  私はあおくんを優しく温かく迎え入れてあげる事に専念し、炊飯器のスイッチを入れたり買ってきたお惣菜を温め直したりお味噌汁の用意をしたり……と、キッチン周りを慌ただしく動き回る。 「ただでさえ会えない日が続いて……寒くて心も体も寂しい気持ちでいっぱいになって……癒しが足りてなくて」
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