Chapter11:可愛いジェラシー

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[ついたよー]  10分もしないうちに再びスマホがブルッと震えた。  あおくんはもう、このマンションのエントランスに到着したみたいだ。 「あっ、いけないっ! フィギュア、元に戻しておかなくちゃ!!」  エントランスを抜けたのなら、この部屋の玄関ドアがガチャッと開くのも間もなく。  急いで落ちたフィギュア達を、私が壁にドンッとする前の状態にしてツーショット写真を再び隠してしまうのとほぼ同時に  ピンポーン……  と、玄関扉のインターフォンが鳴った。 「はーい」  反射的に返事をして、パタパタと玄関へと向かい、扉を開けると 「ただいま! 留守番やご飯の準備してくれてありがとうはなっ♪」  両腕を開きながら笑顔で「ただいま」を明るく言うあおくんの姿が視界いっぱいに入ってきた。 「おかえりなさい、あおくん」  一方、私は一歩下がって小さく作り笑いする事しか出来ない。 (どうしよう……いつもみたいに笑えない)  こんな時はいつもみたいにニッコリ笑って、元気に「おかえりなさい」を言わなくちゃいけない。 (でもやっぱり笑えないよ……だってあんな写真見ちゃったんだもん)
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