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[ついたよー]
10分もしないうちに再びスマホがブルッと震えた。
あおくんはもう、このマンションのエントランスに到着したみたいだ。
「あっ、いけないっ! フィギュア、元に戻しておかなくちゃ!!」
エントランスを抜けたのなら、この部屋の玄関ドアがガチャッと開くのも間もなく。
急いで落ちたフィギュア達を、私が壁にドンッとする前の状態にしてツーショット写真を再び隠してしまうのとほぼ同時に
ピンポーン……
と、玄関扉のインターフォンが鳴った。
「はーい」
反射的に返事をして、パタパタと玄関へと向かい、扉を開けると
「ただいま! 留守番やご飯の準備してくれてありがとうはなっ♪」
両腕を開きながら笑顔で「ただいま」を明るく言うあおくんの姿が視界いっぱいに入ってきた。
「おかえりなさい、あおくん」
一方、私は一歩下がって小さく作り笑いする事しか出来ない。
(どうしよう……いつもみたいに笑えない)
こんな時はいつもみたいにニッコリ笑って、元気に「おかえりなさい」を言わなくちゃいけない。
(でもやっぱり笑えないよ……だってあんな写真見ちゃったんだもん)
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