Chapter11:可愛いジェラシー

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 ツーショット写真での2人は冬の装い。だからきっとあれは1年前に撮ったものなんだと思う。 (ううん……1年前じゃない可能性もある……の、かな)  けど、という事は、過去じゃなくての可能性も捨てきれない。 (だとしたら……あおくんはなんでこんなに普通で居られるの?)  私の知らないところで元カノさんと会っているかもしれない。  ……そう思ってしまったら自然に笑うなんて私には出来ない。 「えっと……」  色んな考えがグルグルと頭の中を駆け巡る中、あおくんは私の異様さに気付いたみたいで (私も負けずに、普通でいなきゃ!) 「あっ、あおくん……寒かったよね? 早く……中に入らなくちゃ。風邪引いちゃう」  とにかくあおくんの冷えた体を気遣う意味で常識的な言葉を掛けてあげた。 「そうだね……うん……」  あおくんは俯いて腕を下ろし、足を擦り合わせ、靴を脱ぎ出す。 「確かにね、今日は寒かったよ。チャリ漕いでる間もさぁ、顔に当たる風が冷たいのなんのって」  私の態度に戸惑っているようにも思えたけど 「12月に入ったもんねぇ……そりゃあ寒いよねぇ」 「いい匂いがするね。お腹すいてきちゃった」 (何となく目を合わせられないし、あおくんも私のそのまた向こう側に目線を向けてる感じするなぁ)
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