Chapter11:可愛いジェラシー

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* 「ありがとうはな、ご飯美味しかったよ。ごちそうさまでした」  私が用意した夕食を食べ終えたあおくんがニコニコ顔で両手を合わせ、ご馳走様の言葉を言ってくれたんだけど…… 「どういたしまして」  コルクボードの写真の事が気になっちゃって作り笑いで返事をするのがやっと。 (ツーショット写真のこと……写真に「会いたいよ」って書かれていること……本当はあおくんに聞いてみたい)  食事中、何度もそう思って口を開こうとしたんだけど……美味しそうにモグモグ頬張るあおくんの表情を目にしたら、何となく聞き辛いというか。 (あおくんは私のこと、本当に「彼女」だと思ってくれているんだよね? 元カノさんよりも私の事が好きだから、合鍵を渡してくれたんだよね?)  「私があおくんの今カノなんだから」という事実をそのまま呑み込んで、堂々とした態度でいればいいのかもしれない。いつものようにニコニコ笑いあってこの部屋で楽しくやり過ごす……そうしておけばいいのかもしれない。 (あおくん……)  でもやっぱり、を見てしまったら無理だ。 (っていうか、あおくんどういうつもり?)  私の感覚ではニコニコ笑うなんて無理だし、逆にあおくんがどういうつもりで私にニコニコ顔を向けているのか意味が分からない。
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