Chapter11:可愛いジェラシー

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 あおくんの「ごめんね」は明らかに「写真」ではなく「片付け」を差していて…… 「…………っ、ぅぅぅ」  私はあおくんの身体(からだ)にギュッとしがみつき 「元カノさんとの写真……見ちゃったのぉ」  声を絞り出しながら決定的な内容を言ったら 「うん、それが原因だよね……本当にごめん」  あおくんは優しく私を抱き締めて「写真は意図してなかった」と気付かせてくれたんだ。 (わざと隠していたんじゃなかったんだ……)  あおくんの優しい声と温もりが、私の気持ちを落ち着かせる。 「あのね……私、本当はテーブルを拭くだけにしようとしてたの」 「うん……」  私はようやく、頭の中を整理しながらあおくんに状況説明する事が出来て 「合鍵もらったの嬉しかったし、昨日私の部屋のもあおくんに渡して……嬉しかった。  今日があおくんの鍵を使ってお留守番する日だからって、いつも以上にウキウキして、浮かれてて……」 「うん」 「でも、掃除もキチンとしてくれていたから、敢えて私が細かな部分まで掃除したら逆にいけないなって思ったの。なんていうか……そういう、粗探しみたいな行動取りたくなかったし、必要以上に小物を動かして掃除してしまったらあおくんの気持ちを害してしまうかなって思って」
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