Chapter11:可愛いジェラシー

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 約1年前のあおくんは叶った恋をどのように育てて良いのか本気で分からなかったみたいで 「…………それで、写真の存在そのものを忘れちゃったんだ?」 「そうなんだよ……本当に情けなくって、申し訳ない」  私とキスをするのもそれ以上のイチャイチャをするのも初めてだ。という事実と当時のあおくんの様子が結びつく。 「俺……それまで『恋』ってよく分かっていなかったんだ。美人の異性と出会うきっかけが出来て、偶然にもツーショット写真が撮れたからって浮かれてさ。正直今振り返っても『美月のどんな部分に惚れたんだろう?』って……あんまり思い出せなくって」 「なんで元カノさんを好きになったのか、覚えてないの?」 「うん……そうだね。はなを好きになった時とは違うんだよ。  はなに片想いしてる時は、はなの可愛らしい部分にキュンときてたし、今だって好きな部分をたくさん言える。  だけど、美月のどこが好きだったのか……どんなデートが楽しかったのか……あんまり思い出せないんだ。だからはなが言ってくれたような『元カノとの思い出』も、どこへ行ったとか何を食べたとかの行動そのものは記憶していても、その記憶に感情が上乗せされてないんだよね」
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