Chapter11:可愛いジェラシー

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「えっ……だってはな、この写真を見て腹が立ったんでしょ? 悲しくなったんでしょ?」 「そうだけど……」 「大好きな彼女がイヤな気持ちになるものなんて、この部屋に置いていたって仕方ないし無くなってしまった方がいいでしょ」 「う……」  私が「待って」「写真を棄てていいの?」と言ったポイントは、あおくんの今カノとして論点がズレているかもしれない。   (だけど……こんなに楽しそうに笑ってる写真を簡単に廃棄しちゃって良いのかな?)  「会いたいよー」って走り書きしてるのは嫌だけど、そこだけ目をつぶればとっても素敵な写真である事には違いなくって…… 「まだお付き合いする前の写真でさ、2人とも自然に笑ってて……すっごく楽しそうで……」 「はな?」  なんとなく…… 「棄てるなんて、もったいないんじゃないかな? だってこの写真はまだ2人がお付き合いする前に撮ったもので、友達関係でのツーショットって事でしょ?」  あおくんが一瞬でも「大事にしたい」とした写真を……その時の思い出を今カノって立場だけの、私の存在一つで破いて破棄してしまって本当に良いんだろうか? って、悩んでしまったんだ。
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