Chapter11:可愛いジェラシー

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「美月さんに未練ないし、お友達との楽しい会の写真はこれの他にもあって、それはちゃんと保管されてるんだよね?   だったらコルクボードから外すくらいにして、他の写真と一緒に保管してもいいんじゃない?」  大きく温かな彼の手は、私の頭を優しくじんわりと温めてくれたし 「はなは……俺の思い出そのものまで棄てなくていいって、そう言ってくれてるのかな?」  私の意図も、私達の体温みたいにじんわりと伝わってくれたみたいで 「うんっ! そうっ!! 楽しい思い出は楽しい思い出として、今もこれからもあおくんの人生の糧になるから……だから簡単に破棄したら、当時のあおくんに悪い気がしちゃって」 「そっか……はなはやっぱり優しい子だね」  頭ナデナデを一層強くして…… 「はなの言う事も一理あるよ。『会いたいよー』のイタズラ書きだけはハサミでカットして写真そのものはとっておく事にするね」  そう言ってニッコリ微笑む。 「へ? イタズラ書きぃぃ?!」  私も微笑み返したかったけど『会いたいよー』がって部分が聞き捨てならなくて素っ頓狂な声になってしまった。
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