Chapter:12 クリスマスの夜に

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 子ども向け映画の上映が終わったばかりなのか「あのおにぃちゃん、ないてるの?」と、パパかママかに話しかけている子どもの声すら聞こえてきて (恥ずかしいとかいう気持ちすらないや……)  大勢の人達に見られて恥ずかしいよりも、やはり「彼女へ気の利いたプレゼントを選べない男」の事実がただただ情けなくて、その場からしばらく動けないでいた。  はなとはこの後のパーティーでフライドチキンとケーキを堪能し、プレゼント交換する約束となっていた。  イブはみどりさんが家族水入らずのホームパーティーを優先したいとの事で、はなはコンビニバイトを22時までのロング勤務。  そしてこの日はクリスマスケーキやオードブルの受け渡しが最も多いので久子さんと澤村の3人体制でシフトが組まれているのだそうだ。  俺はいつも通りの『フラワーショップ田上』でいつもの時間まできっちり真面目に働き……たかったんだけれど、今年は乳児の息子さんがいる田上家。健人さんもやっぱり早く帰って家族サービス&深夜のサンタクロース役を頑張らないといけないらしい。
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