Chapter:12 クリスマスの夜に

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「はあぁぁぁ」  もう何度目になるかも分からない溜め息をつき、いよいよ立ち上がる。 (こうしたって仕方ない。一階に戻ってクリスマスっぽいお菓子買ってごまかそうかな)  確かこのストールを買った店のそばに、輸入菓子専門店があったはずだ。そこでサンタクロースやクリスマスツリーといった可愛らしいデザインのクッキーやチョコレートを選んで残りの予算を消費してしまえば良いと思い、下りエスカレーターに向かって歩を進めた。 (お菓子で予算を埋めるのってどうなんだろうなぁ……でもまぁ、逆にめちゃくちゃ喜んでくれたりして)  とにかく俺の選んだものではながニコニコ笑顔になってもらいたいだけなんだ。  今年いっぱいバイトをセーブしているはなの為に「予算5000円以内」のルールを設けてプレゼント交換するのも、はなに負担や気を遣わせる事なくずーっとニコニコ笑顔で過ごせるようにと配慮したものでもある。 (よしっ! そうと決まれば急いで降りて……)  下りエスカレーターの案内表示を見つけて、エスカレーターのステップ部分に足でグッと踏もうとしたその時……!! 「あらぁ! こんなところで会うなんて!!」 「えっ……?!」 「彼女ちゃんはどうしたの? イブのデートするんじゃなかったの??」  意外な人物と遭遇してしまったんだ。    
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