Chapter:12 クリスマスの夜に

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* (本当に意外過ぎてビックリしたなぁ……)  思いがけない人物との再会から1時間半後。  俺は両手にたくさん荷物を抱えながらはなのマンションへと向かう。 (おかげで助かったぁ……あのままじゃ本当にストールとクッキーとチョコレートのプレゼントになるところだったんだから)  駅からはなのマンションまではバスもなく、10分以上徒歩移動するしかないのだけれどこの道をゆっくりテクテク歩くのは嫌いじゃない。 (はな、疲れてヘトヘトになっているだろうなぁ。クリスマス商品の予約受け渡しで通常業務に加えて忙しくしていたんだから)  最初にここを歩いた時は桜満開の時期で、頬に当たる風も軽やかだったというのに今日は冷たい風がこれでもかってくらいにガシガシとぶつかってくる。  はなとの出会いからもうすぐ9ヶ月で、季節ももうすぐ一周してしまうんだなと気付かされた。 (チキンって、トースターであっためるんだっけ? 先に俺があたため準備をしてあげたいんだけど、失敗してしまいそうだから怖いんだよなぁ……はなと一緒にやろうかな)  外の景色を眺めてはノスタルジックな溜め息をつき……  大好きな彼女の顔を思い浮かべてはドキドキワクワクの気持ちを高める。  相反してる感情が混ざり合うのは真冬に訪れるクリスマスならではなような気がしてならない。 (楽しみだなぁ…………)
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