Chapter:12 クリスマスの夜に

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 はなの合鍵を使って部屋の中に入り、ケーキを冷蔵庫に入れたり照明やエアコンのスイッチを入れたり……いつものテトラ型ビーズクッションをテーブルに配置して軽い支度を済ませておく。 「そろそろはなが上がる頃かな?」  スマホ画面の左上に表示されている時刻が22:00になったのを確認出来たら、再び靴を履いて部屋を出て、真っ先に階下のコンビニへと急ぐ。 「あっ……」  入ってしまおうとすら思っていた店内自動扉の前には 「えへへ♡」  分厚いコートに身を包んだ、少し髪の乱れた彼女が既に立っていて……俺に向かって微笑んでくれたから 「はな、お疲れ。一緒に帰ろう」  俺はすぐに手を差し伸べ恋人繋ぎで彼女と指を絡める。 「うん♡ あおくん、迎えに来てくれてありがとう」 「どういたしましてっ!」 (クリスマスイブの夜にはなと手を繋いでお部屋デート出来るなんて幸せだぁ)  さっきまでのノスタルジーさは完全に吹き飛び、はなのやわらかな感触や温かさのおかげで俺の脳内はピンク色のお花畑状態だ。
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