Chapter:12 クリスマスの夜に

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 はなは自炊するからか、ワンルームマンションにしては大きめの冷蔵庫がキッチンスペースに置かれている。冷凍スペースはまだ見ておらず、冷蔵庫そのものを開けてみたのはホールケーキの箱を入れた数十分前。 「ノルマは理解してるからね。だから半解凍のアイスケーキ状態になっても美味しいだろうなって商品を予約するし、受け取ってすぐに8等分してタッパーに詰めて冷凍室入れるの。そしたら毎日ケーキ楽しめるし、12月はそれを念頭に入れた食材の買い方するんだよ」 「なるほど……冷蔵室開けたらケーキいっぱい入ってるのかぁ」  俺の冷凍室よりたくさん入るんだろうなって思うし、ケーキ入りのタッパーが8個積まれてる様子がありありと想像出来たし 「あおくん、大人が楽しめるようなチョコレートケーキを予約したって言ってたから、私は白い生クリームのケーキにしたんだ!」 「そっかぁ、だから俺の予約したケーキを先に知りたがっていたんだね」 「そうなの。あおくんはサプライズしたかったんだろうなって思いながらも、そこはきちんと確認したくって」 「そっかそっかぁ」  1ヶ月前、はながしつこいくらいにケーキの内容を訊いてきた理由も理解出来た。
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