Chapter:12 クリスマスの夜に

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 「あの時に出会わなかったらどうなっていただろう」と思いながら、はなが丁寧に包装紙を剥がしていくのを見つめる俺。 (どうかなぁ……はなに喜んでもらえるかなぁ……)  一応、いつものニコニコ顔をキープしているけれど、内心はドキドキ緊張していて、シャンメリーやコーヒーを飲んだとは思えないくらい口の中はカラッカラだ。 「うわぁ~♪ なんだろう~?」  はなは目をキラキラと輝かせながら包装紙を広げていき…… 「わあぁぁっ♡」  一つ目の大きな包装紙の中に入っている布に向かって感嘆の声を上げた。 (良かったぁ……)  安牌な方ではあるけれど、取り敢えずホッとする俺。 「それね、大判のストールなんだよ」 「ストール? マフラーじゃないんだ?!」 「うん、マフラーよりは大きいんだよ」  プレゼント説明をする俺の目の前で大きな布を持ち上げ「ホントだ~マフラーじゃない!」とはしゃぐ彼女の様は実に可愛い。 「はなってさ、寒がりでしょ?『大学の授業中肩や膝が冷える』って言ってたのを思い出して。  あと、はなは原付移動をよくするから運転中首に巻いても良いものがあったら便利だろうなって思ってネットで探したんだよ」
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