Chapter:12 クリスマスの夜に

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「うん。はな、この前買い物デートした時に肩部分が開いたニットを見てて『ブラ紐見えちゃうから買うの諦めよう』って言ってたのを思い出したんだ」 「なるほど! それで可愛いデザインのブラストラップをプレゼントしてくれたのかぁ~!」  はなは「観察力良い彼氏で嬉しい」といった感じで目を輝かせてくれているけれど……実はちょっとだけ違う。 (あの時ユタカさんにバッタリ出会わなかったらはなが欲しいニットを諦めたエピソードを思い出さなかったんだから。ユタカさんに感謝しないとなぁ)  俺が残り1300円の使い道で頭を抱えていたところを通りかかった人物とは、ハロウィンコスプレの時に大変お世話になった美容師のユタカさんだったんだ。  クリスマスイブだというのに俺一人、ポツンとしゃがんでいたのが奇妙に感じたらしく話しかけてくれた。それで俺がユタカさんに事情を話すと、目の前にランジェリーショップがあった事もあって「ブラストラップっていうテがあるわよ!」とユタカさんが提案してくれた……という訳で。 (しかも俺、ランジェリーショップに入りにくいからユタカさんにお任せしちゃったんだよなぁ)  派手で奇抜なファッションを身に纏うユタカさんが選んだのは黒いデザインと淡いピンクのデザイン2色で、どちらもはなに似合いそうだなって確かに俺も感じたし、実際に喜んでもらえて本当に良かったって思っている。
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