Chapter:12 クリスマスの夜に

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「あおくんの誕生日……もちろん知ってるよ」  お互いの誕生日は、知り合ってすぐに教えあっていて一度も忘れた事がない。 「あおくんは3月16日がお誕生日。ちゃんと覚えてるよ!」  私がそう答えるとすぐに 「そうだよ、そしてはなの誕生日は2月14日。俺もはなも早生まれでさ、俺自身お酒飲めるようになってまだ2年も経ってないんだよ」  と、優しい口調で語りかける。 「うん……」 「俺がはなと同じ早生まれ……しかも3月だから『友達はもう飲めるのに自分だけまだ』って経験をはな同様してきたんだよ」 「……」  確かに、大学2年の今私は沙羅ちゃん音羽ちゃんに対して「まだ」を経験中だ。 「はなは敢えて俺にそういう話をしないんだと思う。だけど俺も経験してるから、はなが20歳になるまでは俺もノンアルで楽しもうって考えてたんだ」 「……私が今、『自分だけ飲めない』を経験してるから?」 「そう、俺自身ちょっと嫌な気分だったからね。まぁ仕方のない事でもあるんだけど」 「……」 「俺は彼女に、嫌な気分になって欲しくないんだ。それが年齢に関わるどうにもならない内容であってもね」
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