Chapter:12 クリスマスの夜に

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 最初からあおくんはノンアルホットワインを求めてて注文していたんだから、あくまでこの勘違いは都合良くて、店員さんにとってもあおくんにとってもハッピーでラッキーだった……  …………そう、私は思い込む事にしていたんだけど……………………。 「あ……れ?」  あおくんは私の手をギュッと握ったまま、電車の改札ではなく地下街を通っていって…… 「えっ? えっ、ええ……??」  ニコニコしながらホテル街へとテクテク歩いていく。 「あの……あお、くん?」  イルミネーションも観終わったしマーケットでも充分楽しんだんだから、てっきり電車に乗ってあおくんのお家に帰るとばかり思っていたのに、私達の足はいつのまにか初デートで利用したカフェの向かい側建物のところでピタッと止まってしまい 「ほら、最初来た時に約束したでしょ? 『今度は本館へ行ってみようね』って」  あおくんのその言葉で私の頬はポッと熱くなる。 「本館って……」  そう、確かに私達は約束をした。  前回は本館に入れなくて別館になっちゃったから、人気の本館の方にも行ってみたいね……みたいなニュアンスで。
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