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☆蒼side☆
家族の色々があって1人暮らししてはなと知り合うまで、俺は自分の生活の事で頭がいっぱいになっていた。
初詣は毎年正月に行う日本の風習っていうのは理解していたし、幼い頃はじいさんが仕切って参拝していた。
(だけど……っていうのか、「だから」っていうのか……全然楽しくなかったし「意味あるのかな」くらいの気持ちでいたんだよなぁ)
人混み多い中、元日に無理矢理行って窮屈になりながら賽銭なげて、柏手を打って、なんとなく目を瞑ってじいさんの仕草の真似を静かにする。
(あの時俺は毎年何を願ったんだろう?)
手を合わせて何の願いを込めたのかさっぱり覚えていないほど、幼い頃の俺にとって初詣は退屈でこれ以上ないくらいの形式ばった外出だった。
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