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「まぁ……単に真夏の夜とかアイスが食べたくなる時に気軽に買いに行きたいよなぁっていうだけの話なんだけど」
ガキみたいな理由を吐き捨て、また自転車のペダルを大きく漕ごうとしたその時———
「やめてくださいっ……」
店舗の前で女の子が小さく縮こまっていて、苦しくて辛そうな声を出しているのに気付いた。
「っ」
瞬間的に俺は自転車を降り、その場に停める。
「おっぱいおっきいねー♪ 何カップ?」
「田舎っぽく三つ編みとでかいメガネしてるけどさー、なんで? コンタクトしたら良くない?」
「そっ……そんなのあなた達に関係ないじゃないですかっ!」
「えー? 怒られたの? 俺ら」
「アドバイスしてあげてんだけど? 『こんな風にしたら付き合ってあげるよー』って」
「ま、その『付き合う』もワンナイトかもしんないけどねー♪」
「確かにっ! なんかね、たまには違うの食べてみたいなーって気まぐれのヤツね」
(なんだ? アイツら……)
状況がよく掴めないから駐車場の端から様子を見ていたんだけど、明らかに普通の会話じゃない。
「うぅ……」
180センチもあろうかというチャラついた2人の男に阻まれている女の子は、長い柄の掃除用具にしがみつき立っているのがようやくといった様子でいる。
「今ってバイト中? 何時に終わるの? 終わるまで待っててあげよっか?」
「そしたら3人でさぁ、楽しい事しよっ! ねっ!」
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