第2話 自分を愛した美少年

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ある日のこと。 「ナルキッソスー、どこ?」 「ああ、あいつ今、寮に帰ってるみたいだぜ」 休憩中、ナルキッソスを探すヒュアキントスにアドニスはそう教えた。 4人が同居している寮にいるらしい。 「ふーん、4人だと対戦できるんだよな…。ちょっと誘ってみる」 「懲りねえなぁ」 今日は歌のレッスンが主なので、休憩中はバスケをして遊ぶことになっていた。 バスケットボールを持ったまま、ヒュアキントスは寮へと戻っていった。 (ナルキッソス、どこかな?) キョロキョロしながら歩いていると、ふと一つの部屋のドアが開いているのが見えた。どうやらそこは空き部屋らしい。 (ここかな……?) そう思って覗いてみると、そこにはナルキッソスがいた。 ドアに背を向けて立っているので、何をしているのかはよく見えなかったが、何やらブツブツ呟いているのが聞こえた。 すると次の瞬間ーーーーーー!! 「ああ、美しい。何て美しいんだ…」 これまで一度も聞いたことがないような甘い声で、ナルキッソスが囁いているのが聞こえた。 「美しい。君は何て美しいんだ…。僕は君以外は誰も好きじゃないんだ」 何と、愛の言葉を囁いているではないか。 「ああ…愛してる。本当に君を愛してる。僕は君しか愛せない。愛してるよ…」 心底驚いたヒュアキントスだったが、彼が愛を囁いている相手を見て、心臓が止まりそうなほどの衝撃を受けた。 ナルキッソスが愛を囁いている相手… それは鏡に写った、彼自身だったのだ。 eb10b17a-27e4-466a-9d80-e70ad0277efd (!!!!!!!!!!!!!!) あまりに衝撃的な光景に言葉を失っていると、動揺のあまり、手に持っていたボールが落ちていった。 (あ!!ダメだ、これは彼の秘密なのに僕に気づかれちゃーーー) そう思ったが手から落ちたボールは止まるはずもなく、床に落下する音が部屋中に響いた。 バーーーーーーーン!!!!!! 「!!!???」 ナルキッソスは即座にそれに気づいて振り返った。 そして、ヒュアキントスの存在に気づくと、一瞬目を見開いて、茫然と彼を見つめた。 お互いに身動きできず、少しの間見つめ合っていた……。 第3話に続く・・・
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