46人が本棚に入れています
本棚に追加
第3話 秘密の共有
第3話 秘密の共有
「………………」
翌日、4人は寮のリビングに集まっていた。
気まずい空気が流れている。
「おい、何か言えよ」
「……」
アドニスが促しても、ナルキッソスは黙ったままだった。
「お前、何であんなこと言ったんだよ」
「……」
「黙ってないで何とか言えよ」
あの目撃事件の後。
ナルキッソスは恐ろしく不機嫌で、レッスンが終わり謝罪しようとしたヒュアキントスに
「お前みたいな何の苦労もしてない能天気な奴とは一切関わりたくない」
と暴言を吐いた。
それを聞いたアドニスは「こいつのこと何も知らないくせに勝手なこと言ってんじゃねぇよ」と怒鳴りつけ、険悪なムードになったのだった。
結局その日はそのまま有耶無耶に解散となったのだが、翌日になって改めて話し合いの場を設けることになったのだった。
最初に口を開いたのはガニュメデスだった。
「ねえ、僕から提案があるんだけど」
「提案って?」
「うん、僕たちは同じ目的の元、ある意味利害一致で仲間になってるんだよね。目的を達成するまでは運命共同体だと思うし、一致団結することも必要じゃないかな?そこでだ。それぞれ、どんな願望を叶えるため参加してるか共有するのはどう?お互いの譲れないものを知ることで、団結も固まるんじゃないかな。どう?いいアイデアだと思わないかい?」
ガニュメデスはそう言ってニッコリ笑った。
「なるほど!確かに一理あるね!」
「……まあ、悪くないかもな」
「……僕は別にお前らの願望に興味はない」
ナルキッソスだけ不服そうに言った。
「そう。興味なくてもいいけどさ、君いつもレッスンを真剣に頑張ってるよね?それだけ必死になるほど叶えたいんじゃない?だったら、今だけ割り切ってでも団結する必要があると思うな。バラバラで達成できるほど甘くはないからね」
「………っ!……ふん、癪だが今はお前の意見に従ってやる」
痛いところを突かれたナルキッソスは仕方なく同意した。
3人とも賛同したのを見てガニュメデスは満足そうに頷いた。
こうして彼らはそれぞれの望みについて話し合うことにした。
最初のコメントを投稿しよう!