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2人は外を歩いていた。途中まで一緒に帰ろうとアポロンが誘ったからだった。
隣を歩きながら、アポロンは思った。
(それにしても…本当に美しい少年だな…。こんなに美しい子ならもっと前から話題になっていそうだが…)
思わず見惚れてしまいそうになるが、横目で見るだけに留めていた。
「ヒュアキントス。君は神なのかな?」
「え!?」
「君のことをもっと知りたいと思ってね」
「ああ、な、なるほど…。ええ、そうですね…(『元』だけど………)」
今は神格を失っていることは黙っていた。
「そうか。何の神なんだ?」
「(うっ……あんまり突っ込まないでほしいなあ…)その…植物神です……」
「おお!そうか、植物の神か!」
アポロンはあまり深く考えてはないようだった。
「不思議に思っていたんだ。君ほど美しい少年は天界でも珍しいからね。なぜ今まで話題にならなかったのか」
「………。そんな、このシリウスには美しい方はたくさんいますし」
「はっはっは、君は謙虚なんだな!そんなことはないさ、君の美しさは格別だ。この私が言うんだ、間違いない!」
「あ、ありがとうございます」
2人が話しながら歩いているのを、ある男神が上空から見つめていた・・・・・
「何て美しい少年なんだ……」
ーーその夜、美少年達は寮に帰っていた。
「俺、先に風呂入っていい?」
アドニスが訊いた。
「待って、僕も入る!」
アドニスとヒュアキントスは一緒に入浴し、浴槽に浸かりながら話していた。
「ねえ、アドニス。…あれから考えたんだけどさ。地球のこと……」
「……。ああ」
「確かに地球のことも地球人のことも気になるけど…今は目の前のことに集中しないといけないと思うんだ。だから…。今はまだ地球のことを調べるのは待った方がいいんじゃないかって」
「そうだな、俺もそう思ってたぜ」
彼らは地球人への思い入れが強かった。
ゴールへ向かわないといけない時に、地球の情報を知って動揺してしまえば、他のメンバーに迷惑をかけてしまいかねないと考えたのだ。
「うん……!じゃあ、そういうことで……!」
こうして彼らはお互いの意思を確認しあったのだったーーー
その同時間帯。
美少年達が初めて顔を合わせたビルに、ある者が来ていた。
その者は、4人が最初に集められた部屋にいた。
「・・・・・・ご報告は以上です」
「ご苦労」
その者の報告にそう応えたのは、マスターだった。
「これからも引き続き、彼らの報告を頼む」
「かしこまりました」
「頼りにしてるよ。ガニュメデス君」
「はい」
マスターに報告をしていたのは、ガニュメデスだったーーー
第12話に続く・・・
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