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その日から、美少年達はスポンサー探しに奔走することになった。
まずはオーディションを受けてみたが、どの事務所に所属しているかは大きな要素だった。それに実績も重視される。
無名事務所な上、実績0の彼らは簡単には合格をもらえなかった。
ーーだが。
「僕はもう見つけたよ」
数日後、ガニュメデスが涼しい顔でそう報告した。
「ええ!?もう!?どうやって見つけたの?」
「ゼウス様がスポンサーになってくれた。他にもコネクションを使って」
「はあ~~………」
(コネクション、かあ。僕とアドニスはシリウスに来たばかりだし、ナルキッソスはああいう子だしなあ…)
一瞬、アポロンの顔が頭をよぎった。
(いや、アポロン様にそんなこと頼めない)
ヒュアキントスはため息をつくのだった。
そんな彼にある日、思わぬ転機が訪れた。
オーディションの帰り、街を歩いていた時だった。
(ん…?)
誰かに見られているように感じ、ヒュアキントスは思わず振り返った。
その瞬間、突如突風が吹いたかと思うと、そこに一人の男が立っていた。
男は長身で黒い髪をしていた。顔ははっきりと見えなかったが美形であるようだった。
(え……誰……???)
突然風と共に現れた男に驚きながらも、ヒュアキントスはその男に見覚えがあったような気がしたーーー
「やあ、初めまして。私の名はゼピュロス。西風の神だ」
その男はゼピュロスと名乗った。ゼピュロスは西風の神らしい。
ゼピュロスはヒュアキントスに近づきながらこう言った。
ゼピュロスは背が高く整った顔立ちをしていたが、どこか近寄り難い雰囲気を漂わせていた。
ゼピュロスは少し距離を置いて立ち止まった後、こう切り出した。
「風の噂で君達のことは知っていたよ。君はヒュアキントス君、だね?」
ゼピュロスはそう言って微笑んだ。
「はい、そうです。知っていただけていたなんて嬉しいです」
「君達は今話題になっているからね。私は風の神だから情報の流通に関わっているんだよ。私の情報が正しければ…君は今、スポンサーを探しているんじゃないか?」
ゼピュロスの言葉に思わずギクッとするヒュアキントスだったが、すぐに平静を装って答えた。
ゼピュロスはその答えを聞いて満足げに頷いた。そしてこう言ったのだ。
君のスポンサーになりたいのだが良いだろうかーーーーとーーーー
第13話に続く・・・
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