第1話 2人の植物神

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第1話 2人の植物神

第1話「2人の植物神」 「ここでいいのかな…」 見目麗しい一人の少年が、高層階の建物を見上げて呟いた。 その手にはスマホのような小型の端末を持っている。 「地図によるとここでいいみたいだけど」 そう独り言を呟いて、意を決したように建物の中に入っていった。 豪奢なエントランスを抜け、エレベーターへと進み、目的の階のボタンを押した。 そして小さくため息をついた。 a4f9ae18-eac6-4bf6-aeee-2c0faf701b4f この少年の姿は地球人の13~14歳辺りだろう。 透き通るような白い肌は少女のように滑らかで肌理が細かく、そして少年らしく健康的で張りが良い。 身長は160㎝に足りないほどの小柄だが、顔が小さく細身で抜群のスタイルだった。 端正な顔立ちは童顔で少し幼い印象だ。 秀でた眉の下にはくっきりとした二重瞼があり、その下には長い睫に縁取られた大きな青い瞳があった。 その瞳の色は澄んだ海を思わせるような青だった。 鼻筋も高くスッと通った高い鼻梁。 小さな口は桜色の唇で、とても愛らしい。 髪は艶のある金髪でサラサラとした質感がある。 まるで精巧に作られた人形のような美しさを持つ少年であった。 彼の名はヒュアキントス。 彼は、古代アトランティス時代に地球に住んでいた地球外生命体ーー「植物神」だ。 いや、正確にいえば「元」植物神になる。 今の彼は神格を失っているからだ。 彼がこうなったのには理由がある。 ヒュアキントスは、元々は古代の地球にいた植物神の1人だったのだが、ある日を境にその立場を失ってしまうことになる。 それは、彼にとって非常に不本意なことであり、彼自身にも落ち度はあったのだが、それでも自分の失態を深く悔やんでいた。 今の自分は植物神としての神格を失い、何者でもないことをヒュアキントスはふと思った。 2f47fe71-86b3-414a-b83b-7649182032c1 (はぁ~また嫌なことを思い出してしまった…….) 思わずまたため息をついてしまったヒュアキントスだったが、気を取り直して気持ちを切り替えた。 エレベーターのドアが開き、降りると目の前にドアが見えた。 どうやら目的の場所はこの部屋のようだ。 ドアをノックして中に入ることにした。 部屋のドアを開けるとそこには一人の少年が立っていた。 「え……!!?」
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