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その日は朝から大雨が降っており、雷も鳴っていた。まるで嵐のような天気であった。
すると突然、玄関のドアを激しくノックする音が聞こえてきたので、何事かと思いドアを開けたところ、そこにはびしょ濡れになったアドニスがいた。
アドニスの様子は明らかにおかしかった。顔色が悪く、呼吸も乱れているように見えた。何より様子が尋常ではなかった。
今にも倒れそうな様子で立っているのもやっとという感じだったのだ。
それを見てヒュアキントスは慌てて声をかけた。
すると彼は、震える声でこう言った。
ーーーーーー 俺は今、人生最大の危機に直面している。
(やばい……!!マジで死ぬかもしれない……!!!)
なぜなら俺の目の前には…………巨大なドラゴンがいるのだからーーー!!!!
「は・・・・はあ????」
ヒュアキントスは困惑して思わず聞き返した。
(え?何?どういうこと??)
訳がわからなかったのだ。なぜこんなところにドラゴンがいるのか?意味不明だった。
だが・・・外を見て、その光景に驚愕したーー!!
「う…うわああああああああ!!!!!!」
何と、本当に目の前にドラゴンがいたのだ!!
「な?マジだったろ?何で唐突にファンタジーみたいな世界になってんだよ!?」
「待って、何か攻撃できるものは・・・・」
武器になりそうなものを探そうとした時だった。
ヒュン!!!!!!
閃光が走り、目の前のドラゴンは一瞬で消え去ってしまった。
「!!??」
振り返るとそこにいたのはなんと……ガニュメデスだった!彼の手には聖剣のようなものが握られていた。
「大丈夫だよ、殺してないから。瞬間移動させただけだよ」
「ガニュメデス!?あ、ありがとう…。ていうか、今のは一体!?」
2人は驚きすぎて心臓がバクバクしているのを感じた。
「ああ、あれは闇の宇宙種族、魔族だよ。たまにこういうことがあるんだ。シリウス、いや天界は一応は戦争中だから」
それを聞いて2人はさらに驚いたのだった・・・。
「戦争!?だって、ここはこんなに平和なのに…」
「そうだね、光の種族は平和主義だからね。光と闇の戦争、宇宙戦争は遥か昔からあるんだよ。といっても停戦中だけどね」
「宇宙戦争……」
「光の種族は戦いを好まないからある時から停戦協議が結ばれたらしい。だけど闇の種族は戦いが好きだし、銀河法典も犯し悪さをする奴らだからね…。稀に、あんな風に襲おうとすることもあるんだ」
「そんな…停戦してるのに…」
「僕たち光の種族は、特殊な理由を除いては何者も傷つけてはならない法律がある。だから追っ払うだけだよ。一応防御用の聖具も僕たちは所持してるんだ」
「………」
「そんなに不安にならなくていいよ。シリウスは防衛体制も整ってるし」
ガニュメデスは安心させるようにそう言った。
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