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「あれ?ここでいいんだよな?」
外見年齢は他の3人と近い16、17歳くらいの、そして同じくらい美しい少年が部屋に入ってきた。
身長は180cm位で、背が高く大人びた雰囲気を持っていた。
一見少年らしい細身だが、しっかりした骨格と筋肉を持ち、服の上からも男性美と色気を醸し出している。
顔立ちは精悍で整っており、どことなく野性味を帯びた美しさがある。
女性であれば誰でも好きになってしまいそうな、匂い立つようなセクシーさを持つ美少年だった。
「ア、ア、アドニスーーー!!!!!!」
ヒュアキントスは感極まったように、目の前の少年、アドニスに駆け寄り抱きついた。
「ああ~、アドニス、会いたかったよ~!!」
そう言って嬉しそうに抱きつき頬ずりをする。
そんなヒュアキントスの様子に戸惑いながらも、優しい笑みを浮かべて頭を撫でているアドニスの姿があった。
その様子を見ていた残りの二人は呆然としていたが、すぐに我を取り戻し、二人に質問を投げかけた。
先に口を開いたのはガニュメデスの方だった。
少し訝しげに尋ねる。
その表情には若干の警戒が見て取れた。
なぜなら初対面であるはずの二人が、さも親しい友人のように親しげに会話していたからだ。
それもごく自然に。
明らかにおかしい状況であることは明らかだ。
「ねえ、二人は知り合いなの?」
再会を喜んでいた二人は、我に返ったような顔をした。
「あ、ごめん。驚いたよね。うん、僕たちは旧知の仲なんだよ」
「そうそう。ごめんねー?驚かせて。ていうか、君ら二人ともすごい美形だねー。これってなんの集まりなんだろな?」
「やあ、諸君。全員集まったようだね」
「!!??」
唐突に部屋の中を響く大人の男の声に少年たちは驚きと警戒を露わにした。
なぜなら、自分達以外は誰もいないのに、声が聞こえたからだった。
「おや、驚かせてしまったね。姿は見えないのに声がすれば驚くのも無理はないな。訳あって私は今は姿を見せることができない。目の前のスクリーンを見てくれないかな?」
声の主がそう言うと、少年たちの目の前に巨大な投影型スクリーンが映し出された。
そこには机に座り、肘をついて手を組んでいる紳士的な容貌の男の姿が映っていた。
だが、顔は隠されている。
低く堂々とした声で、その男は少年たちに語りだした。
「私のことは『マスター』と呼んでくれればいい。済まないが今は正体を明かすことはできない。君たちに集まってもらったのは、君たちにあるプロジェクトを遂行してもらいたいからだ」
「プロジェクト…?」
顔を隠す男の正体については言及せず、男はそのまま話を続けた。
そして男はいきなり本題に入ったのだった。
男の話を聞いて、少年達は動揺を隠しきれない様子だったが、同時に興味深そうに話を聞いていた。
男が告げた言葉は衝撃的であった。
それはまるで信じられない事であり、到底理解し難いことだったからである。
「そのプロジェクトとは…この天界に、アイドルを誕生させることだ!!」
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