クリスマス・イブ

1/1
15人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ

クリスマス・イブ

 星がきらりと瞬きました。 「急げや急げ、間に合わんぞ!」  雪の中に静かにたたずむ家から、ドアをはね飛ばすようにして出てきたのは、赤い帽子に赤い服、白いおひげのあの人です。 「サンタさん、ソリの準備はできました!」  トナカイたちが言いました。 「おお、そうか! ありがとう! あと、アレはどうじゃろうな?」 「プレゼントは残らず積んでありますよ!」  サンタさんのお手伝いをする小人たちが、得意そうに胸を張りました。 「うむ、いつもありがとうな、小人たちや」  サンタさんはにっこりしました。 「よし、では出発じゃ!」  家の中にいた小人たちもみんな出てきて、せかせかとソリに乗り込むサンタさんに手をふります。 「いってらっしゃい!」 「うむ、行ってくるぞ! さあ、急げや急げ! ほう、ほう、ほう!」  トナカイたちが軽やかに走ります。  ソリがしゅっしゅと音をたて、鈴がシャンシャン鳴り出します。  これから、世界中の子どもたちにプレゼントを届けに行くのです。  サンタさんを乗せたソリが小さくなっていくのを見ながら、小人たちは願いました。  どうか、無事にプレゼントを配りきれますように。 「あ! 大変」  一番に部屋に戻った小人が叫びました。 「サンタさん、ベルトを忘れてる!」  小人たちは慌てふためきましたが、サンタさんはもう夜空の彼方。世界中の子どもたちの元へ飛んでいってしまいました。  トナカイもソリもなしに、ベルトを届けることはできません。  小人たちは祈りました。  どうか、サンタさんのズボンが落っこちてきませんように!  寒くて風邪をひいてしまったら、困りますからね。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!