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クリスマス・イブ
星がきらりと瞬きました。
「急げや急げ、間に合わんぞ!」
雪の中に静かにたたずむ家から、ドアをはね飛ばすようにして出てきたのは、赤い帽子に赤い服、白いおひげのあの人です。
「サンタさん、ソリの準備はできました!」
トナカイたちが言いました。
「おお、そうか! ありがとう! あと、アレはどうじゃろうな?」
「プレゼントは残らず積んでありますよ!」
サンタさんのお手伝いをする小人たちが、得意そうに胸を張りました。
「うむ、いつもありがとうな、小人たちや」
サンタさんはにっこりしました。
「よし、では出発じゃ!」
家の中にいた小人たちもみんな出てきて、せかせかとソリに乗り込むサンタさんに手をふります。
「いってらっしゃい!」
「うむ、行ってくるぞ! さあ、急げや急げ! ほう、ほう、ほう!」
トナカイたちが軽やかに走ります。
ソリがしゅっしゅと音をたて、鈴がシャンシャン鳴り出します。
これから、世界中の子どもたちにプレゼントを届けに行くのです。
サンタさんを乗せたソリが小さくなっていくのを見ながら、小人たちは願いました。
どうか、無事にプレゼントを配りきれますように。
「あ! 大変」
一番に部屋に戻った小人が叫びました。
「サンタさん、ベルトを忘れてる!」
小人たちは慌てふためきましたが、サンタさんはもう夜空の彼方。世界中の子どもたちの元へ飛んでいってしまいました。
トナカイもソリもなしに、ベルトを届けることはできません。
小人たちは祈りました。
どうか、サンタさんのズボンが落っこちてきませんように!
寒くて風邪をひいてしまったら、困りますからね。
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