私の特別な一日

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『四月八日も、let's party  花まつりで会いましょう』  お寺の掲示板には、墨で書かれたありがたいお言葉が掲示されているのだが、いつ見ても攻めた感じで、毎月楽しみにしていた。今月は十二月なのに、どうして四月のことが書かれているのか。いったい、どんな人が書いているのか。そんなふうに思いながら、ぼんやりとその達筆を眺めていた。 「クリスマスは、キリスト様の誕生日でしょう? それを世界中のみなさまがお祝いされます」  その声にハッとして振り返ると、お寺の住職と思しき若い男性が、仏様のような笑みを浮かべていた。 「四月八日は、お釈迦様の誕生日で、花まつりと呼ばれています。花御堂に誕生仏を安置して、甘茶をかけるおまつりです」  私は何も言葉を発していないのに。まるで私が質問したかのように、男性は完璧な答えを返した。 「あなたは、仏様ですか?」 「は?」 「いや、だって……私が聞きたかったことを、何も言っていないのに、答えてくれたから」 「ああ!」  澄んだ、大きな目が、私を捉えた。そして、何か言おうとして、口を開いた時だった。 「一心(いっしん)! 一心はおるか?」  お寺の奥から、怖そうな男性の声が聞こえた。 「はぁい、ただいま伺います」  一心と呼ばれた男性は、奥に向かって返事をした。そして私に一礼すると 「素敵なクリスマスをお過ごしください」  そう言って、去っていった。素敵な笑顔を残して……。
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