モーニング

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「……だれ?」  鋭い目つきに思わずすくみそうになるけど、とりあえず自己紹介しておこう。 「安藤瑠璃っていいます」 「私の孫だよ」  おばあちゃんが補足してくれた事で、彼の表情が少し和らいだ。  あ、よかった。そんなに怖い人じゃなさそう。 「紫乃ばあちゃんの孫なんだ。俺は脇田一樹。よろしくな」  ニッコリ大きな口を開けて笑う。  笑った時に白い歯がキラリと光って、CMで見るみたいな爽やかさだ。  いや、爽やかっていうより、元気? スポーツ少年って感じ。  そんな彼がエプロンつけて接客しているのが、なんだか微笑ましい。 「はい、お待たせー。珈琲にココアね」  私とおばあちゃんの前に飲み物が置かれた。  そして、一緒にテーブルに並べられたのが……。 「これは?」  目の前のお皿を指差して、美奈子さんに聞いてみる。 「これは、今日のモーニングよ」 「モーニング?」  お皿には、バタートーストとサラダ、ヨーグルトが乗せられている。そして気になったのが……。 「あんこ?」  トーストの横にちょこんと小鉢に入れられたあんこ。  これは一体?  疑問いっぱいになった私に、美奈子さんが教えてくれる。 「モーニングはね、飲み物を注文していただいたお客様にサービスでお出ししてるのよ」  サービス? サービスって事は。 「これ、タダ⁉︎」  思わず出た大声に、みんなが笑う。  だって、これ食べたら充分お腹いっぱいになるよ。  それがサービスでつけられるなんて、すごくない?
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