扉の先にあるものは

新たな旅立ち

　去年。おじいちゃんが亡くなった。

　おばあちゃんとは違って、物静かで優しいおじいちゃんだった。
　遊びに行くと、いつもくしゃくしゃって顔で笑って、『大きくなったなあ』って頭を撫でてくれたおじいちゃん。

　夏に会いに行けば、一緒にテレビで高校野球見て盛り上がって。
　冬に会いに行けば、一緒にテレビで年末の歌番組見た。

　年が明ければお年玉をもらってから、近所の神社に初詣に行って。帰ってきたらおばあちゃんが用意してくれるお節を一緒に食べる。
　ずっと繰り返してきた年二回しか会えない時間の過ごし方。

　毎年同じような繰り返しだったけど、私はその時間が大好きだった。