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「へえー、君もモデルやってるんだ」
スラリとした体躯に小さな顔。切長の瞳に高い鼻梁。
見た目と違って気さくな人柄のフミは、モデルの女の子達から人気抜群だった。
いや、モデルだけじゃなく、きっと通っている大学の女の子達にも人気があるだろう。
マサヤは、普段、通販のカタログとかでモデルをしているだけだったけれど、知り合いの女の子に誘われ、初めて『読モ仲間の飲み会』なるものに参加した。
フミは、最初、大勢の派手な女の子達に囲まれて、抱きつかれたりキスされたりしていたが、何故か何度も目があった。
多分、チラチラ見ていたせいだと思う。
いわゆるヤンキー顔のマサヤは、金髪にしている事もあり、一見怖そうと思われるのだが、本来は気が小さいし、喧嘩なんかした事もない。
飲み会の後半で、フミが隣に来てくれた時は、心臓がバクバクして身体が熱くなるのを感じた。
「いい女、いねえよな」
フミが耳元で言った。
「え?そうかな?」
マサヤは、周りを見回す。みんなそれなりにスタイルは良いし、顔だって綺麗な人ばっかりだ。
「うん、いない。こんなすぐに誰にでも股開きそうな女に興味ない」
「あー。それは確かにそうかも」
マサヤがそう言うとフミは「言うねー」と笑ってくれた。
フミが笑ってくれたのが嬉しくて、マサヤは、道化のようにおどけて、フミを何度も笑わせた。
男に対して、こういう感情を持ったのは、初めてだ。
それくらいフミは好みのタイプだった。
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