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錆び付いた階段をギシギシ音を鳴らして上がる。
マサヤのアパートの部屋は、昼間でもあまり陽が当たらずなんとなく湿っぽい。
こんな場所にフミのような人は全く似合わなくて、マサヤは申し訳ない気持ちになる。
「なんかごめん、こんな部屋で」
鍵を開けながら恐る恐るフミを振り返ると「なんで?いいじゃん、部屋なんてなんでも」とフミは笑った。
なんの裏もない笑顔と言葉。
マサヤは、一瞬でフミに全て捧げたい気持ちになってしまった。
フミにすぐ身体を許す女の子達の気持ちが分かる気がする。
部屋に入ると、慌てて照明と電気ストーブを付けて、カーテンを閉めた。
敷きっぱなしの布団を畳もうとすると腕を捕まれる。
「すぐ使うから畳まなくていい」
「え、あ、うん」
フミは、上着を脱ぐとマサヤの上着も脱がせ、そっと頬に触れながらキスをした。
「ん…」
愛情というよりは、マサヤの舌を確かめるようなキス。
深く入ってくるそれを、マサヤは目を閉じて受け止める。
スルリとシャツの中に手が入ってきて、冷たさにピクリと反応してしまった。
「冷たいか?」
唇を離してフミがマサヤを見た。
「だいじょ…ぶ」
マサヤは、その瞳に蕩けそうになりながらフミを見る。
「お前ってホントバカ」
フミは、笑ってマサヤを布団の上に押し倒す。
その後は、ただ黙って二人で裸になり、冷たい身体と性欲を絡ませあった。
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