再会

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滞在した宿は、まるで博物館のような宿だった。 彼は「すごいですね!」と言い 子どものように目を輝かせながら、探索を始めた。 一通り見てまわると落ち着いたようで、荷物を置き、その整理をし始めた。 その間にも電話がよく鳴っていて、その度に少し離れたところに行き、会話をしていた。 奥さんかな? それとも仕事の電話かな? とりあえず忙しそうな人だなと、わたしは思っていた。 順番にシャワーを浴び、就寝時間となった。 ベッドこそ別だったものの、実際に寝てみるとなかなかの近距離。 「〇〇さんって、他の男ともこうやって寝ているのですか?」と、彼から尋ねられた。 これまでにも仕事上で男の人と同室で宿泊ということもあったし、普通に男友達と雑魚寝ということもあった。 同室に泊まったからといって恋愛関係に発展することもなかったし、体の関係になってしまうことも、わたしの記憶する限りではなかった。 もちろん男女ということで、そういう雰囲気にもっていこうとする人もいたが、しっかりと自分が拒否すれば考え直してくれる、そのように認識していた。 彼は既婚者だということで、そもそもそんなことにはならないと思っていたこともあり、そのような質問をされたことに驚いた。 彼の口から結婚しているということを直接聞いた訳ではないので、既婚者というワードを口にしない方がいいと直感的で感じたわたしは 「△△さんのこと、信頼していますから」と、その時浮かんだことを咄嗟に口にした。 すると、すごく嬉しそうな表情でこちらを見る彼の姿があった。 喜んでくれたのねと、当時のわたしは深く考えずに受け取ってしまったが、1年後、その笑顔に隠された本当の意味を知ることとなる。
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