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朝になり、二人で近所のカフェに朝食を食べに行った。
事情を知っていた地域の人に、「君たち、昨晩は本当に何もなかった?」と尋ねられた。
「ご期待に添えず、すみません」と笑顔で交わし、和やかな雰囲気で朝食を食べた。
食後は、二人でいろいろなところを巡った。
地域と密接に関わってくるプロジェクトだったため、その土地の良いところを発見していった。
現在は事業内容が広がり、お互い様々な仕事をしているが、根本は同業者なので共感できる部分が多々あった。
彼の創り出す世界は素敵だと思うし、わたしにないものをたくさん持っていて、一緒にいて学ぶことも多かった。
1日の業務を終えると同時に、彼との別れの時間となった。
荷物を積み込み、車に乗り込む。
「2日間ありがとうございました。また、お互い頑張っていきましょうね」
「こちらこそ、楽しかったです。あの、〇〇さん」
「ん?」
「もし僕が近くに住んでいたら、もっと〇〇さんと一緒にいたいです」
今思い返してみると、これは彼なりの精一杯のアプローチだったのではないか…と思うこともある。
わたし自身、人の気持ちには敏感な方だが
恋愛(特に自分のこと)になると途端に気持ちが読めなくなってしまうという、何とも残念な性質を持ち合わせている。
「そのように思ってもらえて嬉しいです!ありがとうございます」と、普通の会話として処理。
一礼して、車のエンジンをかけ
彼は走り去っていった。
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