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出会い
彼と初めて出会ったのは、今から8年前のこと。
わたしは20代後半に差し掛かるところで、これからの人生について深く考えていた。
これまではというと、正直な話、行き当たりばったりの人生だった。
大学卒業後は就職もせず、海外に行きバックパッカーとして各国を旅した。
この話をすると、「すごいね!」と驚かれることもあるが…。
わたしからすると、継続して働くことができる人の方が余程すごいと思う。
興味の対象がすぐに移り変わってしまう点が、わたしの長所でもあり短所で、いかに自分を飽きさせないかが、仕事をする上で重要になってくると自覚していた。
帰国後は一旦企業に就職したものの、一年で退職。
組織に属することに向いていないと感じたわたしは、一人でできる仕事を考えることにした。
こう見えてわたしは、学生時代からクリエイティブな仕事に精通しており、バックパッカー時代はそれで生計を立てていた。
特に光った才能がある訳ではないが、「わたしにもできるはず」という根拠のない自信だけは一丁前にあり…。
自分なりの特性や能力、技術を探究していき、25歳の時に起業した。
今思えばかなり無謀だと感じるが、それは若さゆえにできたこと。
彼と出会ったのも、まさにそのタイミングだった。
春の訪れを感じさせるような暖かい日だった。
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