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イベント当日。
わたしは駅のロータリーに車を停め、スタッフさんの到着を待っていた。
いつもはその方の特徴を事前に教えてもらって、わたしから声を掛けることが多いのだが、今回は特徴を聞くことをすっかり忘れていた。
年齢はもちろん、男性か女性かさえもわからない…
無事合流できるかと、若干不安に感じていた。
列車が到着したようで、駅からたくさんの人が出てきた。
わたしは車の外に出て、辺りを見渡した。
大きな荷物を抱えた、青年と目があった。
年齢はわたしと同い年くらいだろうか。
まるで少年のようなかわいらしい顔立ちをしていた。
ペコっと会釈して、こちらに歩いてくる。
引き寄せられるように、わたしもそちらに歩いていった。
「〇〇さんですか?」
「はい、そうです。」
これが、彼との初対面。
少しはにかんだような優しい笑顔が印象的だった。
車のトランクに荷物を積み、彼が助手席に乗り込む。
「それでは出発しますね」と声を掛け、エンジンをかけて車を走らせた。
駅からイベントの会場までは、約1時間。
彼とは同い年だったということもあり、すぐに話は盛り上がった。
境遇が似ていたり、専門としている分野が同じだったり、バックパッカーの経験があったり…と、共通点が多々あった。
人によっては長いと感じてしまう移動時間も、彼の場合はとても短く感じられた。
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