1ー3 辻占いが意味するもの

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 最も幸福になる道。  私が辻占いになることが、私にとって最も幸福だというの? しかも実家を継いだ上で?  けれどもやはり、問題は最初に戻る。その辻占いというものになる方法が皆目見当がつかないのだ。それが何かですらも。 「使徒様。使徒様と私では決定的に違う点があります」 「それは辻占いが何か、という点ですね」 「ええ。使徒様にはそれが何かお分かりになるのでしょうか」 「わかりません」  そのきっぱりとした答えにあっけにとられた。それでは何の意味もないじゃないか。不可能な話を振られても困るのだ。  使徒はふむ、と頷き少しだけ間を置いた。 「先ほど私は、この領域で魔女様が『辻占い』を指示したことはないと申しました。つまり、それが何か誰もわからないのです」 「いやだから、本当に」 「ええ。本職の占い師の方がわからなかったのでしょう? それなら誰にもわからない。だからメイさんがその何かを決めて仕舞えばいいのです」 「はぁ?」 「私も使徒というものが何かは私が決めました」  それはなんとなく、目の前の使徒から聞いた好き勝手ぶりからも、そうなのかもしれないとは思う。  けれども誰にもわからないから、私が決めて仕舞えばいい? 意味がわからない。それなら実家を継ぐことを辻占いと言ってもいいの?  そんなはずはないだろう。それであれば、事業承継とでも書いておけば良いのだ。とすれば、わざわざ辻占いとしていることに何かの意味があるはずだ。 「メイさんの中に辻占いと言う言葉の意味はありませんか?」 「私の中に?」 「ええ。あなたに都合のいい辻占いを仕事にしなさい。あなたにできることは何かありませんか? 魔女様は絶対です。詳細に記載されればされるほど、特別な道が用意されています。だからきっとあなたになら、その意味はわかるはずです」
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