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最も幸福になる道。
私が辻占いになることが、私にとって最も幸福だというの? しかも実家を継いだ上で?
けれどもやはり、問題は最初に戻る。その辻占いというものになる方法が皆目見当がつかないのだ。それが何かですらも。
「使徒様。使徒様と私では決定的に違う点があります」
「それは辻占いが何か、という点ですね」
「ええ。使徒様にはそれが何かお分かりになるのでしょうか」
「わかりません」
そのきっぱりとした答えにあっけにとられた。それでは何の意味もないじゃないか。不可能な話を振られても困るのだ。
使徒はふむ、と頷き少しだけ間を置いた。
「先ほど私は、この領域で魔女様が『辻占い』を指示したことはないと申しました。つまり、それが何か誰もわからないのです」
「いやだから、本当に」
「ええ。本職の占い師の方がわからなかったのでしょう? それなら誰にもわからない。だからメイさんがその何かを決めて仕舞えばいいのです」
「はぁ?」
「私も使徒というものが何かは私が決めました」
それはなんとなく、目の前の使徒から聞いた好き勝手ぶりからも、そうなのかもしれないとは思う。
けれども誰にもわからないから、私が決めて仕舞えばいい? 意味がわからない。それなら実家を継ぐことを辻占いと言ってもいいの?
そんなはずはないだろう。それであれば、事業承継とでも書いておけば良いのだ。とすれば、わざわざ辻占いとしていることに何かの意味があるはずだ。
「メイさんの中に辻占いと言う言葉の意味はありませんか?」
「私の中に?」
「ええ。あなたに都合のいい辻占いを仕事にしなさい。あなたにできることは何かありませんか? 魔女様は絶対です。詳細に記載されればされるほど、特別な道が用意されています。だからきっとあなたになら、その意味はわかるはずです」
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