2-1 ニュースタイル辻占い

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 そういえばここしばらく、あの黒いポーチを納屋で見ていないと気がつく。そしてそのポーチは今、搬入口の入り口にかけられているのを私は知っていた。食材の搬入の際の認印入れとして使われている。搬入口に置いておいた方が便利だから。食材は従業員が管理しているから、父さんはそこに移動されたことに気がついていない。  探すものを勘違いしている。そういうことは、失せ物探しにおいてよくある基礎的な勘違いなのだ。  だから私はそのポーチを搬出口からもってきた。 「あれ? どこにあったんだ?」 「搬出口にずっとあったよ。鍵は別に管理したほうがいいわ」  前世のテクニックを色々と試す。  それは意外と応用できることがあった。占いとして使えそうな失せ物探しはその人間の動線や行動パターンを調べることによってある程度は浮かび上がる。  一方で未来の傾向というのは大枠のところは統計資料であたりがつく。いつ頃どんなものが売れるかというのは商業ギルトの商売の履歴を見れば自ずと浮かび上がってくる。それよりは使徒に聞いたほうが精度は遥かに高かった。恐らく使徒には圧倒的な商才というものがあったのだ。だからきっと、ステータスカードを受け取る前は誰も商人になることを疑いもしなかったのだろう……。同士という言葉の闇が深い。
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