2-1 ニュースタイル辻占い

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 商人というのはそういう知識を経験則でそれを知っているけれど、統計データとしてみれば、経験せずとも浮かぶのだ。それはあたかも魔法の占いのように受け止められた。  それから将来の予測。一番当たる、というのも語弊があるけれど、それは未来の恋人はどこにいるのかというぼんやりとした占い。そんなものは好みの異性をそれとなく聞き取り、出会いを求める男女を勝手にマッチングし、特定地点で出会うように行動を指定して仕組めばいい。グレーの服を着ている人が相性がいいと片方に伝え、もう一方にはグレーの帽子が幸運を導くと告げる。そうすると勝手に程よい異性が見つかるのだ。  そしてリストランテ・マイヤースに協力をお願いしたのはマーケティングだ。この街ではどのようなレイアウトが、どのようなメニューが、どのような味が、そしてどのようなカラーリングが流行るのか。そんな様々なマーケティングをこの店を使って行った。  だからこの店で商売が流行る方法を占うことは、比較的容易になった。  この占いという名の、前世でいうところのコンサルティングや出会い系の元締めのような活動はそれなりに成功していた。大きな商会や組合を相手にする占い師と対比して、安価で小規模な事件を扱う占い師として街で個人や小商店を相手に占いをする『辻占い』という職業が爆誕した瞬間である。
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