27人が本棚に入れています
本棚に追加
1-1 占いについての将来設計なんて全然ないわけで
その夜。早速家族会議が開かれた。
その日の営業は家族みんなが気もそぞろで、私は3回ほどグラスを取り落とし、料理人の父さんは2回程ソースを掛け違えて、母さんは1回計算を間違えた。
その後居間に集まってはみたけれど、沈痛な雰囲気というより、混乱の方が大きい。いつも通りざぷんと聞こえる海の音だけがなんとか私たちを正気に、日常に保っていた。
一体何故こんなことになったんだろう。
占いなんて一体どこから沸いて出たの。皆目検討がつかなかった。
「ねぇメイ。あなた本当は占い師になりたかった……なんてことはないわよ……ね?」
「あるわけないよ、母さん。それに私、占い師なんて会ったことがない……んだから想像がつかないんだけど。えっとどんな仕事なの?」
「占い師か。この街にもいるにはいるが、父さんも母さんも会ったことはないな」
この街は港町だ。
両親に聞く占い師というのは、よい航海を行うのに適する海路、つまり海賊やモンスターの少ない航路を占ってもらったりするもので、験担ぎ的なところが大きいらしい。他に聞くのは例えば領主様がその領地を治めるための方針の参考にするために招聘するもの、らしい。いずれにしても私たちの生活からはかけ離れすぎている。
そしてどうやって占い師が占いをするのかはわからないけれど、やはり師匠について占いを習うそうだ。その内容は秘匿されていてさっぱりわからない。父さんが聞いたところでは占いの際には何らかの呪文を唱えているそうだから、きっと魔法で占っているのだと思う、らしい。
全て又聞きで、根本的に両親も占いや占い師を見たことがなかった。
最初のコメントを投稿しよう!