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1-2 やっぱり魔女様の勘違いでは、恐れ多いけれど
「先生、占いというのは魔力がなければできないものなのでしょうか」
「当たり前だよ。占いってのは未来の香りを嗅ぎ分ける行為だ」
「未来の香り?」
「ああ。例えばこの紅茶、とてもいい香りがするだろう? なんの香りかわかるかね?」
「ええと、茶葉は多分ファウエル王国のあたりの香りがします。それからナランハの実を乾燥させたものがまざってる、ような」
ナランハというのはオレンジのような柑橘系の木の実だ。確かにそんな香りがした。占い師はその茶葉を給仕に尋ねると、確かに『蜜柑と夏の雨』の魔女様の領域であるファウエル王国ノリル地方の茶葉で、特級のナランハの皮が香り付けに使われているそうだ。
「さすが料理店の娘だな。私にはそこまではわからない。つまりそういうことだ」
「どういうことでしょう?」
「お嬢ちゃんはこの香りの中から茶葉の匂いを嗅ぎ分けたのだろう? 私ら占い師は魔力の流れの中でその先の未来を嗅ぎ取るんだ。だから、魔力が感知できなければ話にならない。お嬢ちゃんは嗅覚がないのに紅茶を嗅ぎ分けようとしているのも同じなのさ」
その言葉はとても納得できるとともに、占い師に至る未来は絶望的に思われた。
実際の占い師にそこまで言われたわけなのだから、教会で魔女様にお尋ねしてもバチは当たらないだろうと思う……。だって、占い師になる方法が全くわからないんだから。
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