1話「告白。」

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1話「告白。」

ある日の春の事だった。 冬が終わり、ようやくポカポカと温かくなり気持ちの良かった頃だ。 俺ともう一人でしていた校舎裏の掃除中にこう言われた。 「…あ、あの!好きです!!」 「……へ?」 自分がモテるのは知っていた。 眉目秀麗(びもくしゅうれい)、文武両道、それに家柄も良い。 でも俺は一瞬にして脳がフリーズした。 なんせ告白してきた相手は男なのだから。 「えと、返事は要らないです。  伝えたかっただけだから、ね。」 「あ、えと、うん。」 しばらくして気まずい沈黙の中、黙々と掃除を再開した。 そして掃除が終わり空が茜色がかった頃に俺らは別々の帰路(きろ)についた。 その間に俺は思った。 「返事要るくね。」と。 俺はなんというかこういう有耶無耶にされる事は嫌いだ。 なので進級する前に求まれなくとも返事をしようと決めた。 俺は別に同性愛(とう)に嫌悪感とかは無かった。 俺に告白してきた奴は「裏田 花(うらた はな)」と言いなんというか、小さい。 背が高1にしては低く、そして癖毛だ。 顔は童顔(どうがん)で目が気持ち悪くない程度に大きく、とてもじゃないけど男には見えない。 それとよく顔に絆創膏やガーゼを貼っている。 性格はお人好しという言葉が一番しっくりくる。 それ故よく雑用やらを押し付けられている。 何故そんなに知っているのかって? 中学1年から今までクラスが離れた事が無いから嫌でも知る。 今までだから勿論(もちろん)高1の今もクラスは一緒だ。 もうすぐで高2だから離れるかもしれない、これはもう一種の(きょう)だな。 そして俺は20分程で家に着き、もう一度よく考えた。 誤字脱字があればご指摘お願いします。 ここまで読んでくださりありがとうございます。 次回、告白からです。
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