容態

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容態

折れた骨が皮膚を突き破り、鮮血が散る開放骨折だった。 人間とは違って、ここまで骨を損傷してしまうともう治らない。 安楽死処分しか道は無い。 獣医師はテンポイントのオーナー高田に、安楽死処分の同意を求める。 しかし高田は決断出来なかった。 「1日だけ時間を下さい」 と返答を絞り出した。 もう決して助からない、1日延ばしたところでテンポイントが苦しいだけなのに。 そしてこの1日がもたらした意味はとてつもなく大きいものとなる。 高田が保留したこの1日、競馬ファンから 「テンポイントを助けて下さい」 と嘆願する電話が殺到、電話回線はパンク寸前までいった。 その思いを受け、テンポイントは安楽死処分から一転、奇跡の生還を目指すプロジェクトチームが発足される事となったのだ。
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