16人が本棚に入れています
本棚に追加
容態
折れた骨が皮膚を突き破り、鮮血が散る開放骨折だった。
人間とは違って、ここまで骨を損傷してしまうともう治らない。
安楽死処分しか道は無い。
獣医師はテンポイントのオーナー高田に、安楽死処分の同意を求める。
しかし高田は決断出来なかった。
「1日だけ時間を下さい」
と返答を絞り出した。
もう決して助からない、1日延ばしたところでテンポイントが苦しいだけなのに。
そしてこの1日がもたらした意味はとてつもなく大きいものとなる。
高田が保留したこの1日、競馬ファンから
「テンポイントを助けて下さい」
と嘆願する電話が殺到、電話回線はパンク寸前までいった。
その思いを受け、テンポイントは安楽死処分から一転、奇跡の生還を目指すプロジェクトチームが発足される事となったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!