レッスン

18/18

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
「どうしたの、愛莉亜?前の男のこと思い出した?」 「いえ、大丈夫です。違いますから」 さすが『魔女』と思わせただけのことはある。私の思惑を正確に突いてきた。でも、私は莉緒さんに小さな嘘で答える。『はい』と言ってしまったら、 弱い自分から抜け出せず、誰かを頼って心に強い芯を持てないままのような気がしたからだ。 『誰かの背に(すが)り付いたり、他人の人生に便乗したりしない――ちゃんと自分の足で立って生きていく――』 これは私の決意表明だ。だから、私は莉緒さんを――。 私は莉緒さんの傍らに身を寄せ、先刻(さっき)とは反対に、唇を莉緒さんの薄く整ったそれに重ねた。 唇を重ね絡めた愛撫の合間、互いの口許から吐息が洩れる。 「愛莉亜、貴女……」言い掛けた莉緒さんの唇に再び重ねて、僅かに開いた口許に舌を滑り込ませた。 一瞬の間をおいて、莉緒さんは入っている私の舌に自分の舌を絡めてくる。 甘いキスは、それだけで体温が上がるのを感じさせた。唇を(まぐ)わせながら、莉緒さんの股間のに手を添えると、莉緒さんの体が一瞬――ビクっと震えて応える。 「私に……体を預けてくれるんでしょ?」唇を僅かに離して溢れた声は、掠れているのに、何処か甘ったるい色に満ちているように聞こえる。 莉緒さんは1度目を閉じて『イエス』と意思を伝えてきた。 「……それじゃ」私はまた唇を重ねて私達の情事を再び続ける。 先程よりもっと深く艶かしいキスを交わしながら、莉緒さんのを優しく握る。そこは、もう固く……熱くなっていた。それを白い手で包み込む様は、黒く固い棍棒に真っ白な絹糸が纏わり付く――そんな抽象画を思わせる。 キスをしながら右手で(しご)くとは更に固く、そして反り返って厭らしく反応する。 莉緒さんの感じる様を見て、綺麗に剥けたその先を親指と人差指で挟み、グリグリと扱くと――「あ……あんっ」隆々とした、それの持主とは思えない喘ぎ声で莉緒さんは応えてくる。 その甘く厭らしい声が、私の心の内を波立たせる。そう、莉緒さんの反応を見て私の胸は小躍りしていた。 初めて出会った時、魔女と見紛った――いつも凛として気丈な莉緒さんが、私に弄ばれ、身悶えている。 『何て可愛いの……。莉緒さん。私、貴女を……』 「莉緒さん……可愛いわ。ふふっ、逝かせてあげる……ね」 自分の口から溢れた言葉に我ながら少し驚いた。 『私って、こんなに小悪魔だったっけ?』 自分自身が知らなかった、本能の奥底に潜んでいた小悪魔的(そんな)一面を知ってしまったら、私の心はもう止まらなくなっていた。 『莉緒さんを魔女なんて言ったけど、今は私の方が魔女なのかも』 そんな思いが言葉になって現れる。 「口で……してあげる」
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加