152人が本棚に入れています
本棚に追加
ワンライ初挑戦!「愛」
人を愛する事は
ある意味、その人を呪う事と大差ないだろう
なら、愛までは行かない“恋”はどうなのだろう
愛と恋は同じなのかな?
それとも......もういいや...
私は恋をして、愛されて、そして何も見えなくなってたんだ....
誰にも見られず、話しかけられもしない、
そんないつも通りの放課後の帰り道
駅に向かおうと足を進めていた時に
ふと、声をかけられた
「詩織ちゃんだよね?」
突然名前を呼ばれたことに、少し驚きながら
後ろに振り向いた
「お!やっぱり詩織ちゃんだ!久しぶりー」
「だれ??」
顔をみても誰か分からなかった
ただわかる事は、
隣街の高校の制服を着た私より身長が少し高めな男の子だと言うこと
「え?ちょっと詩織ちゃん冗談は辞めてくれるかな?」
「え?ちょっと本当に誰かわかんない」
「俺は遊真だよ!覚えてない?」
「......へ?」
遊真くん、彼は私より身長が低くて、
すごくかわいい私の好きだった人だけど...
「遊真くん?!久しぶり!身長高くなってて気づかなかった」
「でしょー?俺身長伸びたんだからね!」
本当に気づかなかった...
好きだった人なのに気付かないなんて...
そう思うほど、彼は変わっていた
それに比べて、私はあの時から一切変わってない...
髪型も声も、この思いも....
そんな事を胸にしまった
久しぶりの再開で私はすごく嬉しかった
あの頃の彼の姿形じゃないけれど、
遊真くんは、あのときと同じようにすごくかわいかった
「久しぶりに会ったから少し話さない?」
そう言いながら彼は目の前にある小さな公園のベンチを指さした
「そうだね!」
この公園も私達の思い出の1つだった
ここで私達は....何をしたっけ?
覚えていない...
でもここでの思い出は、すごく大切だったって事は覚えている
「懐かしいね〜この公園。何回も詩織ちゃんに慰められたか...」
そんな事あったのだろう....
でも、昔の彼のことだ、何回も泣いて私のところに走って来そうだ
あれ...
覚えている、彼の事は覚えてる
だけど彼との思い出が何一つ浮かばない
どうしてだろうか....
「詩織ちゃんは学校行ってるの?」
「行ってるよ!行ってなきゃなんで制服来てるの?」
こんな当たり前の様な事を聞いてくるのも彼らしい
「そっか...そうなんだね...!」
悲しそうな表情ででそんな事を言う彼は、今にも泣き出しそうだった
無理して笑おうとしてるのだろう
私にはバレバレだ
でもそれは言わないほうがいいかもしれない
それが彼なりの気遣いだと言うことを私は知っていたから
その後も久しぶりの再開もあいまってか会話に花が咲いた
私の話をすると、今にも泣き出しそうな顔をするから
積極的に彼の話を聞いた
気付けば日が沈もうとしていた
「もうこんな時間か...今日はお開きにしよう!」
そう切り出したのは彼の方だった
私は、まだ一緒に話していたかったけど
彼が言うなら私は大人しく従おう
「わかった!またね!遊真くん!」
手を振りながら私は彼に背を向けて歩き始めた
「楽しかったなぁ...また会えるといいな...」
家の前に着き、玄関を開けようとしたとき
「連絡先交換してない....」
そう思いながら私は玄関の先へ消えた
『今日は、懐かしい人に会えた
とても懐かしく、愛おしい人に
だけど、不思議だった
彼女は、詩織ちゃんは俺を庇ってくれて....亡くなったんだ...
でも、会えた
俺の好きな人に、これも愛の力なのかな?
まぁ、会えて嬉しかったよ...
もう会えないと思ってたから
また、会えるといいな...
詩織ちゃん、ありがとう...』
公園から消えた彼女の光を見ながら俺はそう思った。
最初のコメントを投稿しよう!