どうなるクリスマス?

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* * * 「サンタクロース……」  俺は慌てて建物の影に隠れた。  見間違いかと思い、もう一度確認したが、そこにいるのは熊のような体型の大男で、黒いコートの下には赤い服が見える。真っ白ではないが口の周りに髭を生やしているし、麻袋ではないが大きめのエコバッグを担いでいる。顔がコートに埋もれてよく見えないが、あれは間違いなくサンタである。 「あの」  すると、いきなり背後から人の声がした。驚いて振り向くと、小柄な若い女性がこちらを睨んでいる。 「邪魔なんですけど」  状況を言えば、俺が狭い通路に突っ立っていて、道を塞いでしまっている。たしかにこれは邪魔だ。俺はすぐさま道を譲ろうとしたが、そのときターゲットが動き出す。 「すまん! 十秒だけ待ってくれないか?」 「……はい?」  彼女を宥めた後、俺はコートに顔を埋めながら彼の様子を伺った。大通りにいる彼は、大きな体を揺らしつつ、俺の目と鼻の先を通過していく。 「あの」  声に反応して振り向けば、例の彼女がさっきより厳しい表情で俺を見ていた。 「通報しますね? あなたのこと」  そう言って、徐にスマホを取り出す。俺はさすがに取り乱した。 「ちょ、ちょ、ちょ……ストップ、ストップ! 違うんだよ、怪しいもんじゃないから! あれ見て、あれ!」  そう言って、向こうに通り過ぎていった大男を指さした。 「あれ、正真正銘サンタだろ? 俺は本物のサンタに会ったら、ずっと言っておきたいことがあったんだ……これはものすごいチャンスなんだよ! だから、さっきから声を掛けるタイミングを伺っている!」  興奮気味に説明すると、刺さるような冷たい目で睨まれた。 「これが正真正銘のストーカー……やっぱり通報しないと」 「だああ! 待って待って! 早まらないで!」  俺は、110と押し始めた彼女を必死で止めた。 「分かった! 君にはちゃんと事情を話すからさ……俺の話、聞いてくれる?」
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