どうなるクリスマス?

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* * * 「コンビニで買おうかな……」  私は煌々としているコンビニに目をつけた。  少し前、店に滑り込んだ男性が言っていたように、クリスマス当日の、こんな遅い時間に、予約もせずに、いちごのケーキが売れ残っていたらたしかに奇跡かもしれない。それでもその僅かな奇跡を期待して彷徨ってみたが、どのケーキ屋にもいちごのケーキは置いてなかった。最近のコンビニは品揃えもいいと聞くし……  "ピーンポーン"  コンビニの入り口のチャイムが鳴る。  店内に足を踏み入れると、早速クリスマススイーツのコーナーが目に入ったが、どうもいちごのケーキは見当たらない。 「ないかぁ……」  思わず落胆したが、すぐにとあるものが目に止まる。それはお菓子のギッシリ詰まった赤いブーツで、全長五十センチくらいの特大サイズだった。 「これ、好きそうだな……」  そんな直感が働き、手を伸ばす。しかし、私と全く同じタイミングで、赤いブーツにタッチする手があった。 「「あっ」」  顔を上げると、体格の大きい男性と目が合う。私は数秒考えた後に、赤いブーツから手を離した。 「「あの、よかったら……」」  そのまま手で『どうぞ』のサインを作ったが、同時に向こうからも『どうぞ』されてしまった。こういうとき、必ず一歩引くタイプなので、自分がされると困ってしまう。何か妥協点はないだろうかと少し考えた。 「プレゼントですか?」  とりあえず第一投。私は相手の出方を伺うことにした。  彼は口髭を触りながら宙を見つめた。 「プレゼントというか……みんなで分けて食べる感じです。四、五人くらいで……」  なるほど。  彼の回答を聞いた私は深く頷いた。  そして、目の前にある赤いブーツを持ち上げ、彼に差し出した。 「だったら、どうぞ!」  彼はひどく驚いていた。
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